


幕末維新期民衆の自治と運動
- 三澤純 著
- A5判・上製本 506頁
- 定価:本体9,000円(税別)
- 未刊
- 書店発売日:2025年6月25日
- 初版発行年月:2025年6月25日
- ISBN:9784909782267
近世中期から明治維新期までの熊本藩領域をフィールドに、日常的な合議に基づく中間層の政治的活動の実態を明らかにし、その上で、このシステムを解体した明治三年藩政改革の真の意図を追究する。
熊本藩領では、近世中期以降、村庄屋や惣庄屋たちの集団化が進み、彼らが合議を積み重ねて民政を実施する慣行が定着していった。彼らは、領主権力による「支配」の忠実な実践者である一方、その「支配」が地域社会の秩序を混乱させる事態に対しては、痛烈な藩政批判を行う存在でもあった――。
「自治」と「運動」の最前線に立ち続けた政治的中間層を主軸として、民政の視点から明治維新を問い直そうとする意欲作。
【カバー写真】
中道橋(熊本県上益城郡御船町、本書第一部第六章参照)
撮影・写真提供
表:上塚寿朗氏、裏:山尾敏孝氏
熊本藩領では、近世中期以降、村庄屋や惣庄屋たちの集団化が進み、彼らが合議を積み重ねて民政を実施する慣行が定着していった。彼らは、領主権力による「支配」の忠実な実践者である一方、その「支配」が地域社会の秩序を混乱させる事態に対しては、痛烈な藩政批判を行う存在でもあった――。
「自治」と「運動」の最前線に立ち続けた政治的中間層を主軸として、民政の視点から明治維新を問い直そうとする意欲作。
【カバー写真】
中道橋(熊本県上益城郡御船町、本書第一部第六章参照)
撮影・写真提供
表:上塚寿朗氏、裏:山尾敏孝氏
序章
第一節 『熊本藩の地域社会と行政』までの研究史
第二節 近年の研究動向と本書の立ち位置
第一部 幕末維新期熊本藩の地方役人と地域社会
第一章 幕末維新期熊本藩の地方役人と郷士
はじめに
一、熊本藩の地方行政制度と在御家人制度
二、地方役人層の「役威」と地域社会
おわりに―在地合議体制の歴史的意義―
第二章 維新変革期における民政と民衆
はじめに
一、手永制の確立と展開
二、手永制の成熟と終焉
おわりに
第三章 幕末維新期熊本藩の「在地合議体制」と政策形成
はじめに
一、役用覚書の史料学的考察
二、増租問題と役用覚書
三、郷兵新設問題と役用覚書
四、陣夫役徴発問題と役用覚書
おわりに
第四章 幕末維新期熊本藩の惣庄屋集団と維新変革
はじめに
一、惣庄屋集団による大型意見書作成の背景
二、天保期における運動の性格変化
三、維新期の政治情勢と惣庄屋集団の献策運動
四、惣庄屋集団と明治二年の藩政改革
むすびにかえて―明治三年藩政改革との関連性―
第五章 近世後期熊本藩領社会における村庄屋集団の役割
はじめに
一、庄屋寄合と手永議定
二、郡浦手永における甘蔗栽培問題
三、大津手永における水利問題
四、村から見た惣庄屋と手永会所
むすびにかえて
補論 熊本藩領社会を「領国地域社会論」から見つめ直す
一、発想転換の必要性
二、「熊本藩研究」の自己認識の変化
三、手永制下の「村」の性格についての見通し
第六章 往還と舟運による地域運営 ―〝中道橋〟保存のための覚書を兼ねて―
はじめに
一、本稿の諸前提
二、光永平蔵の零落村救済事業
三、年貢直渡し方式に対応する周辺整備事業の展開
四、光永平蔵の「勧農富民」政策とその評価
むすびにかえて
第二部 熊本藩明治三年藩政改革とその社会的影響
第一章 熊本藩明治三年藩政改革の再検討 ―新出の道家家文書を手がかりに―
はじめに
一、もう一つの改革構想
二、改革政治の中の道家之山
むすびにかえて
第二章 熊本藩明治三年藩政改革と安場保和
はじめに
一、胆沢県大参事として
二、民蔵分離問題の渦中で
三、古巣熊本藩での活躍
四、廃藩への道
第三章 一九世紀の藩社会と民衆意識 ―「肥後の維新」考―
はじめに
一、「殿様祭」の系譜
二、明治三年の藩政改革
三、領主権威の活用
四、地域・民衆の反応
おわりに
第四章 熊本藩郷士・赤星伊兵衛論 ―「平均」という社会変革論―
はじめに
一、郷士としての赤星家
二、赤星伊兵衛の思想的特徴
むすびにかえて
終章
初出一覧
あとがき
索引
第一節 『熊本藩の地域社会と行政』までの研究史
第二節 近年の研究動向と本書の立ち位置
第一部 幕末維新期熊本藩の地方役人と地域社会
第一章 幕末維新期熊本藩の地方役人と郷士
はじめに
一、熊本藩の地方行政制度と在御家人制度
二、地方役人層の「役威」と地域社会
おわりに―在地合議体制の歴史的意義―
第二章 維新変革期における民政と民衆
はじめに
一、手永制の確立と展開
二、手永制の成熟と終焉
おわりに
第三章 幕末維新期熊本藩の「在地合議体制」と政策形成
はじめに
一、役用覚書の史料学的考察
二、増租問題と役用覚書
三、郷兵新設問題と役用覚書
四、陣夫役徴発問題と役用覚書
おわりに
第四章 幕末維新期熊本藩の惣庄屋集団と維新変革
はじめに
一、惣庄屋集団による大型意見書作成の背景
二、天保期における運動の性格変化
三、維新期の政治情勢と惣庄屋集団の献策運動
四、惣庄屋集団と明治二年の藩政改革
むすびにかえて―明治三年藩政改革との関連性―
第五章 近世後期熊本藩領社会における村庄屋集団の役割
はじめに
一、庄屋寄合と手永議定
二、郡浦手永における甘蔗栽培問題
三、大津手永における水利問題
四、村から見た惣庄屋と手永会所
むすびにかえて
補論 熊本藩領社会を「領国地域社会論」から見つめ直す
一、発想転換の必要性
二、「熊本藩研究」の自己認識の変化
三、手永制下の「村」の性格についての見通し
第六章 往還と舟運による地域運営 ―〝中道橋〟保存のための覚書を兼ねて―
はじめに
一、本稿の諸前提
二、光永平蔵の零落村救済事業
三、年貢直渡し方式に対応する周辺整備事業の展開
四、光永平蔵の「勧農富民」政策とその評価
むすびにかえて
第二部 熊本藩明治三年藩政改革とその社会的影響
第一章 熊本藩明治三年藩政改革の再検討 ―新出の道家家文書を手がかりに―
はじめに
一、もう一つの改革構想
二、改革政治の中の道家之山
むすびにかえて
第二章 熊本藩明治三年藩政改革と安場保和
はじめに
一、胆沢県大参事として
二、民蔵分離問題の渦中で
三、古巣熊本藩での活躍
四、廃藩への道
第三章 一九世紀の藩社会と民衆意識 ―「肥後の維新」考―
はじめに
一、「殿様祭」の系譜
二、明治三年の藩政改革
三、領主権威の活用
四、地域・民衆の反応
おわりに
第四章 熊本藩郷士・赤星伊兵衛論 ―「平均」という社会変革論―
はじめに
一、郷士としての赤星家
二、赤星伊兵衛の思想的特徴
むすびにかえて
終章
初出一覧
あとがき
索引
三澤 純(みさわ じゅん)
1963年、熊本県生まれ。1987年、熊本大学文学部史学科卒業。
1989年、熊本大学大学院文学研究科修士課程史学専攻修了。
1995年、広島大学大学院文学研究科博士課程後期国史学専攻単位取得退学。
その後、広島大学文学部助手、熊本大学文学部助教授(後に准教授)を経て、現在、熊
本大学大学院人文社会科学研究部教授。
編著書として、吉村豊雄・三澤純・稲葉継陽編『熊本藩の地域社会と行政』(思文閣出版、2009年)、佐々木克・藤井譲治・三澤純・谷川穣編『岩倉具視関係史料〔全二巻〕』(思文閣出版、2012年)、稲葉継陽・花岡興史・三澤純編『中近世の領主支配と民間社会』(熊本出版文化会館、2014年)がある。
※肩書・所属などは本書初版刊行時のものです
1963年、熊本県生まれ。1987年、熊本大学文学部史学科卒業。
1989年、熊本大学大学院文学研究科修士課程史学専攻修了。
1995年、広島大学大学院文学研究科博士課程後期国史学専攻単位取得退学。
その後、広島大学文学部助手、熊本大学文学部助教授(後に准教授)を経て、現在、熊
本大学大学院人文社会科学研究部教授。
編著書として、吉村豊雄・三澤純・稲葉継陽編『熊本藩の地域社会と行政』(思文閣出版、2009年)、佐々木克・藤井譲治・三澤純・谷川穣編『岩倉具視関係史料〔全二巻〕』(思文閣出版、2012年)、稲葉継陽・花岡興史・三澤純編『中近世の領主支配と民間社会』(熊本出版文化会館、2014年)がある。
※肩書・所属などは本書初版刊行時のものです
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