椿と日本文化書影
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椿と日本文化

 
  • 澤田洋子 著
  • 四六判・上製本 304ページ
  • 定価:本体4,500円(税別)
  • 在庫あり
  • 初版発行年月:2026年1月15日
  • ISBN:9784909782274

身近で有用な植物として親しまれながらも、一方で忌避や畏怖されるなど、多様な側面を持つ、日本原産の植物・椿。
本書は、日本文化の中で、椿が、どのような役割を担ってきたか、どのような見方をされてきたかを検討し、日本文化の中での椿の位置づけを明らかにする。
第一部「椿と文化」では、椿の家紋や江戸時代の椿ブーム、茶花における椿の使われ方の変化を明らかにし、第二部「椿と信仰」には、ツバキと名の付く全国の神社43社のフィールドワークなど、椿の信仰面に関する論考を収める。

■推薦の言葉■
林淳 氏(愛知学院大学元教授・東洋大学客員研究員、宗教学)

 ツバキはツバキ科の常緑高木で、アジアの亜熱帯地域に生息し、日本でも暖帯の海岸や山林に生えている。日本のもとのツバキはヤブツバキであり、漢字では「海柘榴」と記されたことがあった。ツバキは油をとる植物として中国に送られ、中国では海を越えてきた柘榴(ざくろ)という意味で「海柘榴」と呼ばれ、その呼び名が日本に伝えられた。遣唐使の時代に、日本から中国へとツバキ油が朝貢物としてもたらされた交流の結果と考えられる。
 ツバキ油が朝貢物として重用されたが、貴族社会ではさほど椿の人気はなかったようである。和歌で桜や梅がよく詠まれたのに対して、椿を詠む和歌はほとんどなかった。その代わりに椿は神社と結びつき、椿の名前をもった神社はあった。十世紀の『延喜式』神名帳には椿大神社、都波岐神社、椿岸神社などが記載されている。山林に生えるツバキは野性味があり自然の神々が宿る霊木として見られていたのかもしれない。
 茶の湯では茶花(ちゃばな)として椿が使われることがあった。侘び寂び文化の茶の湯では、野性味がある椿は好まれたようである。千利休は茶花として椿を好んで用いた人であった。
 さらに江戸時代になると、大輪で華やかな花弁の椿は園芸植物として流行し、つぎつぎに新しい品種が作られ愛好された。落語の元祖とされる安楽庵策伝も椿マニアであって、自ら百種の椿を撰んで『百椿集』という本を出した。策伝の時には、椿の品種は百を超えていたことがわかる。元禄年間ころに作成された、オールカラーの『椿花図譜』には七〇〇点以上の椿の品種が紹介され、園芸植物としての椿はピークを迎えた。江戸時代を通じて園芸ブームは続くが、椿はその先駆けとなった。
 本書の著者の澤田洋子氏は、華道の師範の資格をもっており、幼い頃より椿を愛好していた。椿を愛でるだけではなく、全国にある椿に関係する神社を訪ね、地元の人から話を聞くことを一人で始めた。澤田氏は、椿の名称がつく全国の神社をすべて制覇し、椿と神社の関係の深さを考察する。神社だけではなく、家紋、信仰、民俗などにも目を向けて、多方面の観点から椿の文化史上の価値を明らかにしている。それは椿の総合学といってよいものである。椿という一つの窓から見える風景が、いかに変化に富み色鮮やかなものであるかを実感させてくれる本になっている。

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